|
2006年1月に摘発されたヤマハ発動機の「無人ヘリコプター不正輸出事件」(国民の記憶に新しいと思います)は、同社が中国人民解放軍所属とされる兵器メーカーに、高性能無人ヘリ1機を輸出していたというもの。
当初、「中国側が軍事転用するとは思わなかった」などと容疑を否認する記者会見を行っていましたが、実際は中国側から毎年3千~5千万円の工作資金を受け取っていたことが判明、ヤマハ発動機は中国の対日工作に協力していたのです。
かつて中国は、エアクラフト・インダストリー(イスラエル)から非ヘリ型無人偵察機「ハービー」を購入していましたが、この偵察機にはGPSや地形を読み取るシステムが装備され、軍事転用が可能であるとしてアメリカはイスラエルに制裁を加えた経緯があります。ハイテクヘリは現在も輸出停止状態にあるにもかかわらず、日本の企業は無人機の不正輸出をおおっぴらに行っていたのです。
逮捕された無人ヘリ輸出仲介貿易社員の中国人男女2人は、福岡県警の取調べに対し「中国公的機関から派遣された」と供述。しかもこの事件は、中国人不法就労の家宅捜査から芋蔓式に発覚、不法滞在の摘発が「スパイ事件」に展開したという驚愕するような実態を露呈しました。
さらに防衛庁当時、ミサイル研究データが総連系企業に流出する事件も発生。この時も薬事法違反で朝鮮総連を強制捜査していた最中にデータ流出疑惑が浮上、無人ヘリ事件と同様「別件捜査」によって発覚したのです。
さまざまな物的証拠を突きつけられ、猛省を見せるかと思いきや、ヤマハ発動機首脳陣は「違法性は無かった」などと主張。もはや不正取引を問う以前に、国家機密の流出が「重大事態」だと認識していない企業倫理の欠如に怒りを抑えることができません。さらに「中国の脅威拡大を国民に印象付ける情報操作である」などと反撃姿勢を崩さない一部マスコミや左翼勢力にも違和感を覚えます。
仮に日本が中国に対し、同じようにスパイを送り込んだとしたら極刑が言い渡されることでしょう。軍事力を「国家戦略の基本」と据えて外交や経済問題を進めている諸外国の常識がどんなものであるのか、日本人はきちんと把握しておかなくてはなりません。
防衛白書によると、中国の国防費は当初予算比で18年連続二桁の伸び率を達成、靖国問題で対日批判を繰り返す一方、着々と軍事力を強化しています。今こそ日本は、東アジアの覇権を狙う中国に対し脅威認識を持ち、違法な諜報活動を厳重に監視しなくてはなりません。そのためにも機密情報の流出を未然に防ぐ「スパイ防止法」の成立が早急に求められます。諜報活動への対応を含めた国家戦略の確立こそ、政治に携わる私たちに課せられた使命であると思います。
本年こそ国家戦略の立場で、日本の国益を脅かすような情報が流出しないようにするためにどのような方法を講じるべきか、国や地方を問わず、政治家同志で活発に議論されることを期待して止みません。
|