Qなぜ食の道に
やはり有田という土地だと思います。有田は松茸などの山の幸、大村湾の海の幸、佐賀平野のお米と地産の食材が豊富で、お客様は自宅でその料理を大皿でもて成します。
食は単なる料理に止まらず、美しい器とおもて成しの心の総和で、若い頃から関心がありました。
Qなぜ家庭料理に
どこの国でも、やはり大事なのは家庭料理です。
気候風土で異なる産物を家族の健康や知人をもて成すために作る、それが家庭料理なのです。
家庭料理ほど実質的な価値観が横溢しているものはないと信じています。
家庭料理は母から娘に伝える文化のエッセンスです。派手でも華美でもなく、地に足のついた、料理だけでなく挨拶や行儀とかも一緒に伝えます。
それが本当の文化の継承で、食卓で教わる行儀作法、頂き方、習慣、味付けや取り分け方、そういうのは食卓を通じてしか受け継がれないものです。
何世代もが一緒に食事を頂くことによって身体の中に沁み込む考え方、態度、勧め方、作法とかがあります。そう言う機会がないとすれば今のお子様達はお気の毒ですね。
今では家庭内でも其々が自分の都合に合わせて一人で食事をする個食が問題になっています。
可哀相に、もう慣れっこになって一人で頂く方が開放感もあり自由でよいと考える子供達もいます。
それは嘆かわしいことで、一緒だと好き嫌いもできないし、ペースも合わせなくてはならずそういう我慢を覚える。一人ですと少し食べても、箸取りがおかしくても、こぼしても誰も何も言わない、それが子供達は伸び伸びすると思っているらしいのです。
親が時には皆一緒で賑やかな食事をと考えても、子供達は却ってガッカリする、皆との食事は経験がないから、自信が持てないし、萎縮してしまうそうです。
子供達が世界にどんどん発展していく上で、お仕事で大切な方と食事をすることもあるでしょうに。
小さい頃から、例えば料理も、お祖父ちゃまから順に取っていく、またお祖母ちゃまが歯が悪るければお母様が沢庵の裏から隠し包丁をいれて食べ易いようにしてある、そういう風にするのだと分かります。一事が万事で社会的な適応の仕方を学びます。
お弁当の代わりの給食だったり、塾通いのコンビニ弁当だったり便利と引き替えにいろんな事を学ぶチャンスが失われているような気がします。子供に自由にさせることは、その時は良くても、決してその子にとって幸せな事ではありません。それは子供には分からないので親が教えなければならない。賢い親はそこの所に早く気がつくのではないでしょうか。
今の若い親は自分自身がそう言うことをして貰ってないから元に戻すのは大変なことで警鐘を鳴らし続けないといけないと思います。
終戦の時、戦争に敗れても日本には伝統や歴史、文化とか素晴らしいものがある、貧しても鈍せず、大人がしっかりして美しいままの生活態度を取るべきと、その座にある方きちんと仰って下されば、どんなにか国民は意を強くし大人たちが奮起して子供たちを躾けることができただろうと残念におもいます。
Q夫婦別姓など逆の方向?
おかしなことですね、食事も勿論ですが他にも家庭で躾けなければチャンスがないことは沢山あります。
昔は母親が手を広げて年寄りから幼い子供達までを見守り、今季節の物は何があるか、この子は育ち盛りだからとか、お祖父ちゃんは歯が悪いからこういう物で栄養が落ちないようにとか、時期の恵まれた物産を食べることで経費を抑える、そういう賢い母親の役を日本の女性はできたし、それはまた一つの誇りでもあったんですね。
極端に言うと今は翼を閉じて「あなた達も好きになさい、私も好きにするから、皆自由になりましょう」という風になってしまい、深い心で家の中の食卓を守る人がいなくなった。
同じことで、中国の皇帝には医師団がいて、それは勿論外科や内科の偉い先生方の集まりなんですが、その医者達を統じるのは食医だったと言われています。つまり食べ物で皇帝の抵抗力、若さ、アレルギーなどを食医がまず整えて、それによって内科も外科も医療がし易くなる、効果が出易くなるわけで、食べ物が一番皇帝の力であると考えたわけです。
Q偏食について
食育の三本柱の一つが選食です、自分が選んで食べられる教養、選ぶ知識、体験であり、それはとても大切で一朝一夕では身に付かず、小さい時から教えるべき事です。
デンマークやスエーデンは子供の教育にとても熱心ですが、文字や数字を教える前にまず一人で食事を摂れることを訓練するそうです。
つまりパンにバターを塗ってハムとかソーセージとか野菜とかを乗せ折って食べる、牛乳を飲みながら食べる、それができれば子供は、満ち足りて遊ぶこともできる、お母さんが働いてても大丈夫お腹を空かせないで待っていられる。
それができてから子供に知識を教えるそうで、日本はそんな基本の「き」をキチンと教えていませんものね。
だから家庭を守るお母様方がもう少し自覚を持って食卓を整えて欲しいと心から思います。
Q社会進出と女性の地位向上は
それは自覚によりますよね、自分が後ろ指さされないようなキチンとした元気な子供を、国家のためになり、人様の役に立つ子供を育て上げる、それが私の役目で、それを私はちゃんとやっているという自覚と誇りのある人は、外での仕事と女性の地位とは関係ないと思うでしょうね。
昔の女性は忙し過ぎましたから、今はミキサーもありフードプロセッサーもあり本当に食を整えやすい環境で、女性は情熱さえあれば両立できるでしょう。
心をこめた季節の家庭料理こそ幸せの源です
Q家庭の食と男性の役割は
そうですね、家庭の食卓はもう崩壊寸前ですが、そこでの男性の力は大きいとおもいます。父親が関心を持って一言労ったり、日曜日には少しでも手伝うなどと関与すれば考え方とか色んなものが変わってくると思います。
最近は料理教室に男性も増え良いことだと喜んでいます。男性の生徒さんは長い方が多いですよ、年代は30代40代の若い方、少し仕事に余裕の出来た定年後の方それが一番多いですね、老後の楽しみというもう少し上の方もいます。
Q同時に色々する料理は男性は苦手では
そうです、四方八方に気配りするのが人間の生に関する積極的な態度だと思います、だから女性は長生きするのです、男性もそうなさればよろしいのに。
米国でエリートを教育する機関が教育の最後に食事を準備させるそうです。
五、六人で買い出し、料理、セッティングをさせる。
例えばこのワインは二時間前には冷蔵庫に入れなきゃとか、これは冷えすぎているから出さなきゃとかすべての食べ物の温度を管理し、お皿を温め、もう頭の神経をフル回転させないとできない、しかも五人が連携してお互いの意思の疎通も必要です、これこそが仕事の上で大事だというのが結論です。
兎に角、お料理は長生きをして友人を作って生活を楽しくする、それの要だと思います。
Q日本の食材は
日本には三ヶ月毎の旬、季節がありますね、それと海に恵まれて魚介類これが日本のお料理の大事なポイントです。
不思議なことに若いお母さん方で献立に困っている方がおられます。
スーパーに行き、旬のもの春ならキャベツがあり、ジャガイモがありニンジンがあり、魚は鰆があり、その季節の物を何にしようかなと考えればお料理なんて出てくるものなんですね。しかも三カ月ごとにお野菜だって変わります、それに家族の体調ですね元気を出さなきゃとか疲れたからゆっくりしなきゃなどを組み合わせれば献立に苦労しないでしょう。あとお米の国ですから、季節の物を入れて一年中変化に富んだ美味しい炊き込みご飯、それから実沢山の汁物これがまた滋味に満ちて味も色々あります。それに味噌味、醤油味、中華の牡蠣油、ヨーロッパのトマトソースありで其々の野菜と組み合わせる味わいは日本には沢山ありますから、献立に困るどころか多すぎて困るぐらいの恵まれた土地風土なんです。
ハワイに憧れても、物産は少ないし、お魚も限られています、サンタクロースのフィンランドはロマンチックであっても野菜は限られます。
豊富な日本の太陽と産物これを利用しない手はありません。
日本は食文化が最も発達する条件を持っています、 他の国に比し大変恵まれているという自覚を持って日本の文化を次に伝えていかなければなりません。
最近、オプショナルツアーで日本の料理を体験したいという外国人が増えています、特に興味を持つのがお出汁です。
世界中日本だけです、こんなに短い時間で出汁がとれるのは。
インドや中国、フランスなども、鶏や牛肉が多い、骨とかを長く煮込んでその汁を使う。日本は海の物でしょう昆布と鰹節、あっと云う間にお出汁が取れてしまう。
料理というものは出汁から発出するので、出汁の材料になっているものが料理の原点です。日本人の長寿は出汁のせいではないかと思い出汁を見たいとなるわけです。もう一つはお寿司です、寿司の味付け、作り方、みな関心があり巻き寿司や花寿司を作りたがります。
外国人の方が今の若い人達よりも日本の食文化に興味があるかも知れません、お箸も上手に使えます。
Q薬膳料理について
もう三十年ほど前から家庭でできる薬膳を教えています。物はみな全て勢いを中に持っています、生薬のそれを生かして頂くと体がとても楽なんですね。春は春食べる物、夏は夏食べる物。どんなに酷暑であっても自分がそれを食べることによってクールダウンできる食べ物を神様は下さっています。例えば瓜類です、キュウリに白瓜、スイカなどは皆体を冷ます、それから秋になれば体の血流を良くする生姜を沢山食べるとか。血液サラサラのお薬とか何種類も錠剤を飲んでいますが、食べ物だと美味しいし効果があります、少し元気のない人には山芋を食べさせる、山芋もとろろだけでなく粉吹き芋にしたりフライドポテトにしたり、食材の力を使ってコントロールするのが薬膳なのです。
料理と別の物ではなく、料理の中のあるものに焦点を当てたのが薬膳です。
小さいお子さんに必要なもの、お年寄りに必要なものを考えながら作ります。
でもそれは神様が既にすごーく良く考えて作って下さっています、例えば寒い冬にはネギがとっても体を温める、ニンニクも茂るし韮もそうです。コントロールが出来るように仕向けて下さっています。
こうゆう物を使いながら何時も思うのは、奥様のなさり様、食に配慮するかどうかはとても大切です。
もっと女性が賢く、城の外へ出て頑張っている男性軍をしっかり力づけて更に賢く頑張ってくれるように仕向けるのは、賢い女性の役目ですよね。
女性は大事なお役目を持っているわけで、それに自分の立場をあまり甘やかしてはいけません女性ももう少し自分に厳しく、安心して子供たちが伸び伸びとして育ち、ご主人が幸せな気持ちを持って我が家に帰ってき又働きに行く、こういうことは偏に女性にかかっていると思いが至らなければならないと思います。
それには日常が大事でお互い夫婦の理解が、会話が大事でしょうね。
男性も料理は女性に任せてなどではなく、ちゃんと子供達が行儀良く食べているか、好き嫌いしてないか関心を持ってリード役になることはとても大切で、お料理もぜひ一分野担当されると良いと思います。
要は男性が関心を持つかどうかなんです、大事なものを大事だと分からせるためには男性が少しでも参画することが必要で、それによって女性も立ち直ることができると思います。
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