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 ひとりごとは、「防衛協会会報」第1面の連載記事として、全国防衛協会連合会の常任理事が交替で投稿しているものです
号 番 年月日 タイトル(テーマ) 投稿者(敬称略)
117号 24.1.1    ひとりごと(幼児期の教育の在り方)   小柳 毫向(連合会常任理事)
116号 23.10.1    ひとりごと(中国の安全保障観)   永岩 俊道(連合会常任理事)
115号 23.7.1    ひとりごと(東日本大震災に思う)   廣瀬 清一(連合会常任理事)
114号 23.4.1    ひとりごと(武器輸出の国際常識)     山崎  眞 (連合会常任理事)
113号 23.1.1    ひとりごと(領域警備の任務等)   大北 太一郎 (連合会常任理事)
112号 22.10.1    ひとりごと(お盆休み)    田中 満雄(連合会事務局長)
111号 22.7.1    ひとりごと(部隊・隊員の喜び・励み)   澤山 正一(連合会常任理事)
110号 22.4.1    ひとりごと(誇りある歴史認識)   廣瀬 紀雄(連合会常任理事)
109号 22.1.1    ひとりごと(研究開発の重要性)   廣瀬 清一(連合会常任理事)
108号 21.10.10    ひとりごと(外交・安全保障の連続性)   山崎 眞 (連合会常任理事)
107号 21.7.1    ひとりごと  (チャンスの神様)   廣瀬 紀雄 (連合会常任理事)
106号 21.4.1    ひとりごと  (若者達の意識)   大北 太一郎 (連合会常任理事)
105号 21.1.1    ひとりごと  (日本である理由)   渡邊 元旦 (連合会常任理事)
104号 20.10.1    ひとりごと  (防衛力整備)   廣瀬 清一 (連合会常任理事)
103号 20.7.1    ひとりごと  (部隊・隊員を激励)   澤山 正一 (連合会常任理事)
102号 20.4.1    ひとりごと  (米大統領選挙)   山崎  眞 (連合会常任理事)
101号 20.1.1    ひとりごと  (創造性開発)   廣瀬 紀雄 (連合会常任理事)
100号 19.10.23    ひとりごと  (虫の目・鳥の目)   渡邊 元旦 (連合会常任理事)
99号 19.7.23    ひとりごと  (海の安全と権益)   山崎  眞 (連合会常任理事)
98号 19.4.23    ひとりごと  (定時定点)   廣瀬 紀雄 (連合会常任理事)
97号 19. 1.19    ひとりごと  (北朝鮮・核ミサイル)   山崎  眞 (連合会常任理事)
96号 18.10.23    ひとりごと  (靖国参拝)   大越 康弘 (連合会常任理事)
95号 18. 7.23    ひとりごと  (国を愛する心)   渡邊 元旦 (連合会常任理事)
94号 18. 4.23    ひとりごと  (閑中忙と国を守る体制)   廣瀬 紀雄 (連合会常任理事)
117号 24.1.1 ひとりごと(幼児期の教育の在り方) 小柳 毫向(連合会常任理事)

 先日杉本鉞子さんが書かれた武士の娘なる本に出会った。あまり期待していたわけではなかったが、読んでみるとなかなかどうして久しぶりにいい本に巡り合ったという満足感に満たされた。

 著者は明治6年に長岡藩の家老の娘として生まれた、今で云うところのお嬢様である。しかし今時のお嬢様と違うのは、小さいころから厳しい教育と躾を受けており、女として必要な料理、裁縫、お茶、お花のほか6歳から四書五経の素読をやらされている。勿論親の強制である。
 文章は語り口調で書かれており実に上品で読むほどに心が洗われる。著者は結婚のためアメリカに渡り、夫との間に二女をもうけるも夫が急逝したため一旦は帰国するが、日本の生活習慣に馴染めない娘のため再び渡米し異国の地で女手一つで子供を育てる逞しさも持っている。天晴れな女性と言わざるを得ない。

 幼児期に厳しい躾を受けた子供と自由気儘に育った子供では成長して差ができるのは当然のこと、統計では日本の人口は2,050年に約9,500万人まで減少すると予測されている。急速に少子化が進む状況では少数にして精鋭なることが求められるが、残念ながら我が国はその逆に進みつつある。幼児期の教育の在り方を真剣に問うべき時代であるかも知れない。

116号 23.10.1 ひとりごと(中国の安全保障観)   永岩 俊道 (連合会常任理事)

 いまや中国を侵略する国など存在しないにもかかわらず、隣国中国は諸外国への説明も不十分なまま、遮二無二その軍事力を増強しようとしている。

昨年6月、自衛隊の退役将官数名で中国を訪問し、現役の中国人民解放軍軍人らと周辺情勢等について意見交換したことがあったが、中国の安全保障観は日本のそれとは全く異なる。

中国は共産党一党独裁体制であり、その権力基盤を軍隊に置いている。 共産党自身の政権を長期に亘って維持しているため、その政策にぶれがなく、極めて長期的な展望に基づき強気の国家軍事戦略を展開してきている。 核や空母の保有についても戦略的である。 また、軍事大国であることを国威発揚の手段として考えている節もある。

総じて、中国の国家戦略は非常に重層的で精緻、かつ狡猾であり、強かでもある。「威嚇戦」「麻痺戦」「攻略戦」を強要する一方で、「世論戦」「心理戦」「法律戦」「外交戦」「エネルギー戦」「サイバー戦」等といった極めて多次元の戦略を巧みに操ってくる。

中国のような「力の政治」を信奉する国家に対しては、バランス・オブ・パワーのパワー・ポリティックス意識を絶対に欠かすわけにはいかず、「拒否的抑止力」の毅然たる提示と強かな外交が不可欠である。 我が国の安全保障上、ここ数年が自らの覚醒の正念場と認識しなければならないが、いやはや政局の混迷は目を覆わんばかりである。


115号 23.7.1 ひとりごと(東日本大震災に思う)   廣瀬 清一 (連合会常任理事)

☆自衛隊の災害時における活動に国民がこれほど敬意と感謝の気持ちを抱いたことはかつてないであろう。
 
 それほどに東日本大震災の被害が甚大で派遣の規模が大きかったばかりか、人命救助等の被災者救援から緊急物資の輸送支援、給食給水や瓦礫の除去等、また原子力災害派遣における様々な活動等、不眠不休かつ広範囲の活動は国民の自衛隊に対する認識を決定的に変えたと思う。

☆かつて防衛大学校第一期生の卒業式において、当時の吉田茂首相は卒業生を前にして、『諸君はこの先、国民から感謝されるようなことはないだろう。その覚悟で臨め』と訓示したと言われているが、国民に感謝される今日の自衛隊の存在を誰が予想できたであろうか。
 
 予備自衛官まで動員して行われた十万人規模の災害派遣は自衛隊の歴史に大きな足跡として残るであろう。この経験は今後の自衛隊の在り方を検証する上でも大きな教訓とならなければならない。

☆災害派遣のための予備自衛官招集を誰が予測できただろうか、即応予備自衛官約七千人、予備自衛官四万八千人、予備自衛官補四千人の体制で良いのだろうか。

 予備役の動員とは、そもそも国家存亡の危機に初めて行われるものである。今回の招集は災害の規模が大きかったことの他に様々な意味を持っている。同時に現役自衛官の数は果たして現状で大丈夫なのか。

 この際、定員や予備役制度全体も考え直す機会にしてはどうかと思う。

☆日本国民の自衛隊に対する認知度は間違いなく高まり、今日、国民の自衛隊として存在できるようになったが。国民の防衛意識は本当に向上しているのか疑問も残る。

 自衛隊に対する認識度と国民の防衛意識とは別のような気がする。国民の防衛意識の現れがこの度の防衛大綱や中期防衛力整備計画であるとするならば、今一度、防衛大綱についても検証が必要である。

114号 23.4.1 ひとりごと(武器輸出の弧草常識) 山崎 眞(連合会常任理事)

 昨年暮れ、「産業のグローバル化」の調査研究のため欧米四カ国の政府・シンクタンク・企業等を訪問して来た。我が国の武器輸出三原則が緩和されるかも知れないという報道があったためか、何れの国においてもその話題が頻出した。

 欧米諸国では、産業のグローバル化が進み、防衛産業においても、武器等の共同開発生産・部品の共通化等が常態化しており、各企業は世界レベルの先端装備の提供に強い自信を持っていた。勿論各国とも武器輸出による外貨獲得も大きな国是のひとつになっている。

 当協会も平成22年度研究の一貫としてこの問題を取り上げ冊子を配布した。そもそも武器輸出が禁止されると、どの様な問題が生じるのか。グローバル化が進んだ欧米の現状を踏まえて考えると、次の様なことが言える。

 まず、世界レベルの技術から我が国が取り残される。技術交流はギブアンドテイクの世界であり、外国との共同開発が出来ない我が国は世界から取り残される。次に、自衛隊だけを顧客とする我が防衛産業基盤は弱体化する。世界の先進技術が我が国に入って来なくなるからである。最後に、日本独自仕様で開発生産することにより、同盟国や友好国との装備の共通性がなくなり、これが共同運用にも支障を及ぼす。

 武器の輸出は悪ではなく、むしろ輸出をしないことにより、同盟国・友好国等からの信頼を得ることが出来なくなるのが国際常識である。これが、欧米で得た率直な印象である。

113号 23.1.1 ひとりごと(領域警備の任務等) 大北 太一郎(連合会常任理事)

 暗夜突然現れた漁船らしき大群が、日本の巡視船の制止も聞かず尖閣に押し寄せてきた。不法上陸者達は、島は我々の領土だと気勢を挙げ、やがて彼等を守るかのように多数の軍用機や艦船が巡視船の前に迫ってきた。悪い夢だが、現に南シナ海ではこの様にして多くの島に中国の国旗が立てられています。

▼昨年九月の尖閣諸島沖事件では、次々に繰り出してくる中国の威嚇や恫喝に国民は歯ぎしりしました。命がけで警戒にあたっている海上保安官は、向こうから軍艦が来たらと思うとゾッとすると、最前線の緊張感を語っています。

▼急場を救ってくれたのは、いち早く「尖閣は日米安保条約の適用範囲」と言ってくれた米国のお陰です。しかし尖閣を領土の一部だと主張する中国がこのまま黙っているはずがなく、巡視船が遠巻きに監視しているだけでは紛争はまた起きます。韓国による竹島不法占拠やロシア大統領の北方領土視察は許し難いことですが、実効支配を示すには尖閣にも人を置くべきです。

▼軍事大国を目指す異質の隣国とどの様に向き合えばよいのか。尖閣を含む日本の南西諸島海域が中国の内海にならないよう、新たな「防衛計画の大綱」のもとで、島々への自衛隊配備や平時から自衛隊にも領域警備の任務を与える法整備など、今年こそ領土・主権を守る国の本気度を見せて欲しいものです。


112号 22.10.1 ひとりごと(お盆休み) 澤山 正一(連合会常任理事)

 お盆休みといえば、都会からおじいちゃん、おばあちゃんの住む田舎へ車か電車で帰省するパターンが一般的であり夏の風物詩でもある。

 私には、子供が二人いていずれも独立し、息子夫婦は練馬区に、娘夫婦は近郊の戸田にすんでおり、各々孫が二人ずつ(5,4、3,1歳)います。

目白が実家である我が家に限っていえば、帰省パターンは通常とは異なり、都会から田舎とはならず帰省ラッシュに巻き込まれることもない。

 では、子供達が孫を連れて実家に帰って来た時はどうすれば良いのか、特に孫達が夏休みを楽しく過ごすにはどうすれば良いのかを愚妻と相談をした。

 そこで、一、絶対に怪我をさせないこと 二、無理をしないこと 三、出来る限り孫達の希望を取り入れる、これらを頭に入れて老夫婦は豊島園、お台場、品川水族館、椿山荘、スカイツリーと浅草、鉄道博物館と大奮闘。

 しかし、連日の猛暑と人の波にもまれてヘトヘト、お陰で気力、体力、財力ともグッタリ。

 でも努力の結果、孫達のうれしそうな「笑顔」と子供達夫婦から「有難う」と感謝の言葉もらい、都会でも田舎のおじいちゃん、おばあちゃんに負けないお盆休みができたのではと自負しています。

 それにつけても血の繋がった子供の可愛さはひとしおである。子供虐待の報道が連日新聞、TVでなされているが犬や猫にも劣る行為がなぜ、いつから起こるようになったのか悲しい限りです。

 自分の孫達に限らず、よそ様のお孫さんも元気でスクスクと育ってほしいと願わずにはいられません。


111号 22.7.1 ひとりごと(部隊・隊員の喜び・励み) 澤山 正一(連合会常任理事)

 私が自衛官を退官して、もう2年が過ぎようとしていますから大分前の話になります。
 長崎県大村市に駐屯する第16普通科連隊長に着任した時、連隊は島原半島にある雲仙普賢岳噴火の災害派遣の真っ最中で、災害派遣中の連隊への赴任となりました。

 大きく長期の災害でしたから「災害派遣当初は、日本中が注目し、多くの人々の慰問・激励をいただいたが、最近は殆どなくなった」のが着任時の状況でした。 それでも隊員たちは黙々と災害派遣の任務に服していたわけですが、数ヵ月後珍しく慰問があり、現場指揮官である連隊長が、島原城の現場指揮所で部隊を代表して慰問者にお会いすることになりました。

 慰問者は歌手のキム・ヨンジャさんで、「毎年欠かさず慰問にきていただいている」との事でした。
 当日お会いして慰問品等をいだだきましたが、その際「なぜ、毎年欠かさず慰問に来ていただいているのですか」との私の質問に「軍隊が、国民のためこれだけ一生懸命頑張っておられる事に、国民として感謝の意を表し、慰問するのは当然です」(彼女の言による)とのことでした。

 防衛協会の皆様の心もこれに通ずるところがあるのではないでしょういか。 近傍の駐屯地・基地又は災害派遣等の現場に赴き、「お疲れ様」「ご苦労様」と声をかけ励ます等の行事を企画・実行していただければと思います。それが部隊・隊員にとっては、何よりの大きな喜び・励みになるのですから。

110号 224.1 ひとりごと(誇りある歴史認識) 廣瀬 紀雄(連合会常任理事)

▼転勤族で各地の名所旧跡を訪れ、魏志倭人伝の伊都国に比定される福岡県前原市の「平原遺跡」(卑弥呼を想像させる祭祀遺構や鏡の大量出土)を見たことや、以前の居住地(奈良市)近くの「巻向遺跡」(櫻井市)が邪馬台国の有力候補地であったことから勤務地の歴史に興味をもった。

▼ところで、我々も含め就職等で早くに故郷を離れた人が多く、意外と郷土について知らない。ある部隊での幹部課題論文で、「郷土の歴史等について述べよ」を課題の一つとしたことがあった。この論文作成を通じ、改めて郷土の歴史・伝統・文化に触れることができ有意義だったとする人も多かった。年配の知人に勤務地での英雄伝を紹介したところ、郷土に誇りが持てて地元の同窓会に出るようになった方もおられた。

▼最近のテレビで、ある人が「民族存立の根源は、民族神話と誇り得る歴史認識が代々受け継がれていくこと」と発言されておられた。わが国には、古くは古事記・日本書紀に記す神話・歴史があり、近くは、五カ条の御誓文がある。「たかが歴史、されど歴史」。精神的な日本再生には、国民が、今一度、身近な郷土史や記紀等を通じて、日本国民として誇りある歴史認識を取り戻す必要があろう。

109号 22.1.1 ひとりごと(研究開発の重要性) 廣瀬 清一(連合会常任理事)

▼目黒にある艦艇装備研究所の本館の前に「技術報国」と書かれた碑がひっそりと存在している。旧軍時代の碑であろう。際だって人目を引くこともない。自衛隊には「技術抑止」と言う言葉がある。日本の防衛政策で正式に使われている用語ではないと思うが、技術力の持つ潜在的な抑止効果等の総称を意味すると思う。昔からよく聞かされた。

▼戦後、北東アジアにおいて日本はそれなりの技術立国であり、周辺国よりも先進技術の面で優位に立っていた。軍事技術の面でも旧軍時代に築かれた技術基盤の上に構築された軍事技術力があった。膨大な兵力を有する大国が存在しても先進技術面で日本が優位にあり、周辺国に対し潜在的な抑止の役割をしていたと思う。今日はどうかと言えば、軍事技術面での周辺国の躍進により、もはや安閑としていられない状況にある。おまけに日本の厳しい財政状況の中にあって、技術力の持つ間接的な意義や機能を論ずる余裕は今の日本にはない。八年連続マイナスの防衛予算では、装備開発にも自ずと限界があり、将来を見据えた新たな技術開発は前途多難であろう。

▼専守防衛・非核三原則・武器輸出三原則等と自らの防衛基本政策に多くの制約を課していることを忘れ、何でも安価な外国の装備品にすることは如何なものかと心配である。官僚主導・装備開発=軍産複合の悪いイメージが先行する日本の世相にあって、研究開発のため日夜コツコツと努力している人々を忘れてはならない。


108号 21.10.10 ひとりごと(外交・安全保障の連続性) 山崎 眞 (連合会常任理事)

▼注目の総選挙は民主党の大勝となった。民主主義が成熟した欧米において、与野党間の政権交代は特に珍しいことでもなく、政権交代後も重要政策については極端な変更がないのが通例である。しかしながら、現在のところ民主党の政策、特に外交・安全保障政策については、今後どうなるのかがよく分からない。

▼ひとつ分かっているのは、インド洋派遣のような米国主導型の国際協力参加については反対と明言していることである。社会保障の財源捻出のために防衛費を縮小すると言う人もいる。また、強固な日米同盟があるにもかかわらず軸足をアジアに移すのが同党の本質的な方向性である。

▼心配なのは、仮にこのような政策を本当に施行した場合、我が国の外交・安全保障政策の連続性が保てるかということである。最悪、「無責任国家」のレッテルを貼られ、国際社会からの信頼を大幅に失い、同盟国である米国からも見放されることになりかねない。

▼今でも見放されるか否かの瀬戸際にある。安全保障の見地から見れば、米国は日本より韓国の方により信頼を置きつつある。一方、中国・北朝鮮から見れば「御しやすい政権」の出現により我が国から最大の利益を引き出せることになるだろう。一度このような事態に立ち至ったならば、これを現状に戻すだけでも10年以上はかかる。いや、国際関係の構造変化により二度と取り戻せなくなるかも知れない。外交・安保政策の連続性が求められる所以である。


107号 21.7.1 ひとりごと(チャンスの神様) 廣瀬 紀雄 (連合会常任理事)

▼本年4月4日、テポドン発射の誤報に対するマスコミ報道は、自衛隊非難で溢れた。しかし、今回のテポドン事案は、日本防衛の実情と課題を明らかにした。

▼戦には、戦機というものがあり、「チャンスの神様(カイロス)には前髪はあるが後ろ髪はない」とのことわざがあるように、事前にミサイル発射の兆候探知手段を講じ、平素から迎撃ミサイルによる初動対処能力を整えていれば、ピンチをチャンスに変えることが出来る。どちらを欠いても勝利は覚束ない。

▼今回の事案は、我が国が弾道ミサイルの探知手段を保有したこと、射程的に迎撃ミサイルの能力不足を明らかにした。当初、誤報となったが、起こり得るリスクである。報道によれば、1分後に誤探知と判明し、迅速に訂正されている。これは、平素から領空警備での経験が生かされている。

▼今回の教訓を基に、周辺国が核弾道ミサイルを実戦配備しているという現実を直視し、早期警戒衛星の保有や米国と連携した対処能力を担保する必要がある。

▼今回、マスコミの批判に拘わらず、麻生総理が、防衛省を励まされたことは、隊員の士気高揚に貢献したと思う。また、ゲーツ米国防長官の「自国への脅威でないミサイルには対応しない」との発言を重く受け止める必要があろう。

106号 21.4.1 ひとりごと(若者達の意識) 大北 太一郎 (連合会常任理事)

▼「戦後の日本の平和は、憲法第九条があったから守られたという意見ですか?」「第九条があったからとは思いません。自衛隊の方々の努力はもちろん認めますし、日米安保条約の力も大きかったと思います」。正月、大学生によるNHKテレビ討論「日本の平和貢献」の一コマである。

▼オヤッと思ったのは、いつもの不毛な対立ではなく、相手の意見にも一定の理解を示したことや、結論が「日本は戦えない国でなく、(力を持った上で)戦わない国を目指すべきだ」となったことだ。若者達の意識が世界の常識に近づいたのか。

▼米国大統領オバマ氏は、安全保障について就任演説の中で、安全と理想のどちらか一方を選択するのは間違いだと、理想を求めつつも力を背景にした現実対応の考えを明らかにした。

▼国際貢献が自衛隊の主任務の一つになって二年、ソマリア沖の海賊対策として新たに海自部隊が派遣された。混迷する政治状況の中で必要な法律さえ不十分なまま、任務達成は今回もまた派遣隊の努力に委ねられている。

▼今年、創立二十周年を迎える全国防衛協会連合会には、国民のさきがけとして更なる挑戦が求められよう。決意を新たに、日本のため自衛隊のため誇り高く進みたい。

105号 21.1.1 ひとりごと(日本である理由) 渡邊 元旦  (連合会常任理事)

▼謹賀新年。今年の干支は“牛”ですが、“丑”とも書き、“紐”、即ち万物が厳しい寒冷の地中にあって、春を待ちながら忍耐強く鋭気を養い、活動に備え、力強く働き始める様子を意味するそうです。 防衛省・自衛隊の頑張りを大いに期待しています。

▼塩野七生氏の『ローマ人の物語』の3世紀前半(ローマの衰退期)のところに「ローマは、ローマである理由を少しずつ、自らの手で失いつつあったのである」、数行置いて「ローマ帝国のためにつくす人はすべてローマ人であり・・」という記述があります。

▼ローマ(人)を日本(人)に置き換えてみましょう。 「日本のためにつくす人はすべて日本人」とまでは言えませんが、「日本は、日本である理由を少しずつ、自らの手で失いつつある」とは言えるのではないでしょうか。

▼山海の幸や温暖な気候に恵まれた自然との共生、素晴らしい日本語、それらを背景とする歴史、伝統等、守るべき「日本である理由」はたくさんあると思います。

 新学習指導要領に基づく教育が実施されつつありますが、成果が出てくるまでは今の大人が「日本である理由」を失わないように努力することが大切ではないでしょうか。

「子供さんやお孫さんと一緒に初詣!」してみませんか。

104号 20. 10.1 ひとりごと(防衛力整備) 廣瀬 清一  (連合会常任理事)

 ▼先般、「宇宙基本法」が成立し、防衛の分野でも宇宙利用が可能となった。しかしながら、宇宙に関する新たな装備構想などは一向に聞かない。政府の緊縮財政「骨太方針」が続く中、7年連続マイナスの防衛予算では、新たな装備開発構想等は難しいであろう。

▼一方、周辺国の国防予算は皆2桁で増加し続けている。特に中国は19年連続の増加であり、既に日本の防衛費を凌駕して近代化を進めている。

▼近頃は「防衛力運用の時代」と言われ、「国際平和協力活動」「統合運用」「組織改編」に関心が集まり、防衛力の整備充実や新たな防衛力整備の構想は全般に「軽薄短小」的で関心が低い。おまけに装備品調達に関連する不祥事が続き、防衛力整備の分野は氷河期を迎えている。

▼「運用」は長年築きあげた防衛力があってこそ可能である。益々軍事技術が進んでいく中で10年以上に亘る防衛力整備停滞のツケができることは避けたい。

▼気がついたら、技術大国日本の防衛技術が他国の後塵を拝することにならないよう、次期「中期防衛力整備」の議論で世論に訴えて頂きたい。そのための「省改革」における防衛力整備部門の一元化であれば意味がある。


103号 20. 7. 1 ひとりごと (部隊・隊員を激励 ) 澤山 正一 (連合会常任理事)

▼最近、防衛省・自衛隊で様々な事案が起きています。組織は人で構成されていますが、人は様々なことを起こします。油断もあれば、魔が差すこともあるのでしょう。組織としては、この様な場合、平素の教育はもちろん、起きた後の原因究明・再発防止に真剣に努力することは当然なことです。

▼一方、忘れてはならない重要なことは、自衛隊は国の防衛はもとより、国際平和協力業務及び災害派遣等で立派に任務を遂行し、高い評価を受けているという事実です。殆どの部隊・隊員は日夜訓練に励み、与えられて任務を立派に果たしているという極めて「健全な組織」です。一部の事案で、全体がおかしいと判断したり、部隊・隊員の士気まで影響を受けているとすれば、悲しいことです。

▼自衛隊が逆境にあるのなら、この様な時こそ、我々防衛協会及び会員は、一般の国民に対しては自衛隊の「真の姿」をよく見てほしいと注意を促し、国家・国民及び世界平和のために、黙々と訓練に励み、任務を遂行している健全な部隊・隊員に対しては、「引き続き任務遂行に頑張ってほしい」と力強い激励を送ろうではありませんか。

102号 20. 4. 1 ひとりごと (米大統領選挙 ) 山崎 眞 (連合会常任理事)

現在、米国の大統領選挙が佳境に入り、予備選も大詰めになりつつある。米国の大統領は、世界の政治経済に大きな影響力を有するだけでなく、我が国のような同盟国にとっては国の態勢そのものにも大きな係わりをもつ重要な存在である。この意味において、我々もこの選挙には特別の関心をいだかざるを得ない。

 我々は、この選挙を次の大統領が日本に対してどのような政策をとるのか、更に言えばどれだけ我が国のためになる大統領なのかという目で見なければならない。スーパーチユーズデー後の情勢を見ると大統領候補は民主党のオバマ氏、クリントン氏、共和党のマッケイン氏の三人に絞られたようである。
 
 オバマ氏は「チェンジ」を標語に掲げているが、日本をどの程度知っているのかについては全く未知数であり、政策についてもよく分らない。

 クリントン氏は米国のある有識者に聞いたところでは少なくとも親日ではないが、親中でもない保護主義者だということである。

 マッケイン氏は海軍軍人で、ベトナムでの長期の捕虜生活の経験を持つ英雄である。大統領になった暁には、知日派のスタッフを持つことになるであろうと言われている。

 11月の本選挙までにはまだ相当の月日がある。十分な関心を持って眺めて行きたい。(常任理事 山崎 眞)


101号 20. 1. 1 ひとりごと (創造性開発 ) 廣瀬 紀雄 (連合会常任理事)

 若い頃、先輩から川喜多二郎氏の創造性開発手法(KJ法)を教えていただいた。エバーフィールドのHPによれば「KJ法は、先入観・偏見を排して、データを集め、データをまとめ、新たな視点からの発見や問題解決策を導き出す発想法である」とされている。

 当時、グループに命題を出し、各自思いつくキーワードを複数出させ、似通ったものをグルーピングし、更にその要約について思いつくキーワードを出させ思考を発展させていく。これを繰り返していくうちに、他人の意見に触発され、一人では考え及ばなかった命題の解決策につながっていくというものであった。

 これに関連して、最近、「得手不得手」、「持ちつ持たれつ」という言葉が思い出される。人間でも組織でも得意とすることと得意でないことがあり、相互に助けたり助けられたりすることにより、ものごとは発展的に進む。

 現在の世の中を見てみると、相手の欠点をあげつらい、自己の考えのみを主張し、ものごとが一歩も前に進まないことが多い。数少ない経験においても、一人+一人が二人以上の成果を上げる職場や逆にマイナスになる職場を経験した。今日の内外情勢を見ると後者のような気がするのは私一人であろうか。


100号 19.10.23 ひとりごと(虫の目・鳥の目 ) 渡邊 元旦 (連合会常任理事)

 夏の参議院選挙が終わった。見事と言ってもいいほどの与党の惨敗である。敗因は、年金問題、政治資金問題、閣僚不祥事問題など言い訳できないものばかりであり、「いい加減にしろよ」という国民の気持ちがよく出ていると思う。
 
 さて、物事を考えるのに必要なこととして「虫の眼」(現状・現場を見る眼)、「鳥の眼」(将来・大局を見通す眼)という言葉がよく使われる。国政において最も必要な視点であると思うが、今回の選挙は、結果として「虫の眼」特に国民の生活に直結した「眼」が曇っていないかが問われることになった。

 一方、国防や教育などについてはどうであったろう。教育基本法が改正され、防衛庁が防衛省になり、更には 国民投票法が成立したということで国民も政治家も満足してしまったのかもしれないが、国防や教育という「国の行く末」を考える上で最重要の事柄について「鳥の眼」はおろか、「虫の眼」レベルでも論点にならなかったのは極めて残念である。

 この11月1日に「テロ特措法」が期限切れになるが、 この法律は、わが国の防衛にも係わる重要なものである。民主党の代表は国会の始まる前から「絶対に延長させない」と公言し、政府・与党も国会が始まった直後に総理・総裁が交代するなど、混乱の極みにある。

 国政を預かる政治家には「鳥の眼」はもとより、確かな「虫の眼」も持っていることを心から望みたい。

99号 19. 7.23 ひとりごと (海の安全と権益) 山崎  眞 (連合会常任理事)

 我が国は四面を海に囲まれた海国であるが、意外と国民の目は海に向いていないと言われている。
 豊かな先進国であるにも関わらず海洋レジャーは、未だごく一部の人たちにしか行き渡っていない。
 貿易立国とは言っても、我が国に籍を置く外航商船は百隻にも満たず、日本人の外航船員は2,500人程度しかいない。

 我が国は食料の60%、そのうち穀物の80%、石油などのエネルギー資源に至っては99%以上を海路からの輸入に頼っているが、その殆どは外国の船と外国人の船員によって運ばれている。
 また、この海路(シーレーン)は、冷戦終結後発生した海賊、海上テロ、不法行為などによって常に脅かされており、更に平時・有事を問わずシーレーンに脅威を及ぼす恐れのある200隻を超える高性能潜水艦の存在がある。

 一方我が国は、多くの資源を内蔵し、世界第6位の広さを誇る排他的経済水域という重要な権益を有するが、ここも通告の義務を無視した海洋調査など、種々の不法行為により侵蝕されそうな気配である。

 本年4月に成立した海洋基本法は、国家的海洋戦略が欠如していることにより我が国の国益が犯されている現状に鑑み、確固たる国家戦略をもって海の安全と権益を守ることを目的とする法律である。国が一体となって、強力な施策を進めることを期待し、見守ってゆきたい。


98号   19. 4.23 ひとりごと(定時定点) 廣瀬 紀雄 (連合会常任理事)

 昨年は、海自観艦式を観閲付属部隊から研修でき、観閲部隊と受閲部隊の交差が予定通り(± (プラスマイナス)秒以内)であったことに感動した。かって空自は、長野オリンピック開会式で「第九」演奏直後のタイミングを捉え見事ブルーインパルスの妙技を披露した。また、陸自は富士総合火力演習において、砲弾の炸裂煙で見事に富士山を描いて見せた。この陸・海・空自の秒単位の定時定点は、規模や性格が異なるとはいえ、いずれも周到な準備と組織的な連携、厳しい訓練や高い士気が無ければできない。

 話は変わるが以前、上司から郷土の英雄「山本五十六元帥」(暗号解読され前線視察中に待伏せ攻撃され戦死)の例を引き、「時間を守らない人間は信用できない」と指導された。元帥出身の旧長岡藩(新潟県)では、今も良き伝統が受継がれているように思う。

 今日、デートで30分や1時間の遅刻も携帯電話のやりとりで対応できる時代になった。しかし、このような時代でも、時間を守らない人間は信用できないということは生きているような気がする。私も最近、約束を失念したり余裕のない行動をとるようになった自分を戒め、定時定点は「自分の心構え次第」と反省している今日この頃である。

97号   19. 1.19 ひとりごと (北朝鮮・核ミサイル) 山崎 眞 (連合会常務理事)

 北朝鮮が弾道ミサイル連続発射に続いて核実験を実施したことにより、近い将来弾道ミサイルに搭載可能な小型核弾頭を開発する恐れが現実のものになってきた。通常弾頭と比べて、核弾頭を搭載するミサイルは、その戦略的意味を含めて脅威の度合いが全く違ってくる。

 シーファー駐日米大使は、先日の記者会見で「発射された弾道ミサイルが日本を標的にしていることを見極めるまでは迎撃しないのか。これは日米同盟の根幹に係わる問題だ。」と発言し、日本政府の考えを質した。正直なところ、こんな基本的な問題がまだ解決されていないのかという疑問を持つ。

 わが国が、米国に向け飛んでゆくミサイルを探知しながら、本当にそのまま見逃すことができるのだろうか。尤も、北朝鮮、中国から米本土へ向かうミサイルは日本の上空を飛ばない。はるか北のカムチャッカ上空を飛ぶことになるのでわが能力では迎撃できない。

 問題は、ハワイ、グアムへ向けて発射されたミサイルだ。これは、わが上空を飛んで行く。ハワイ、グアムも勿論米国である。故障、分解等によりわが国へ落下する恐れのあるミサイルを含めて、わが上空を通る弾道ミサイルは全て撃墜するという確固たる決心を早期にすべきである。


96号 19.10.23 ひとりごと (靖国参拝) 大越 康弘(連合会常務理事)

北朝鮮が弾道ミサイル連続発射に続いて核実験を実施したことにより、近い将来弾道ミサイルに搭載可能な小型核弾頭を開発する恐れが現実のものになってきた。815日終戦記念日の小泉総理の靖国神社参拝は、自民党総裁選、アジア外交ともからみ大きな話題となった。国民の賛否も割れている。

総理が、国のために犠牲になった戦没者に慰霊するのは当然のことであり、外国からとやかく言われることではない、という意見がある。

他方、極東軍事裁判の判決の正当性に問題があるとしても、三百万人以上もの日本国民の尊い人命を犠牲にし、そして近隣諸国にも多大の苦痛と犠牲をもたらすことになった日中・太平洋(大東亜)戦争へ国策を誤って導いた国家指導者には心から慰霊する気持ちになれない、従って総理は参拝をやめるべきだという意見もある。いずれにしても、総理の参拝について、国論が割れ、外交問題となって外国から乗ぜられることがないように、早急に対処、解決すること必要がある。


95号 19.7.23 ひとりごと (国を愛する心) 渡邊 元旦 (連合会常任理事)


 奈良県櫻井市に、霊峰三輪山をご神体とする大神(おおみわ)神社がある。記紀に出てくる古社である。

 陸自中部方面隊に勤務していた一昨年の暮れに、知人の紹介で、翌年早々にイラクへの派遣が予定されている隊員諸君の安全祈願のために該社に参拝する機会を得たが、その際に鈴木宮司から、「大神神社のご祭神、大神神社と伊勢神宮の関係」など、数々の興味ある話を伺うことができた。

 以来、「三輪山の古代史」、「古代王権の神話」などの関連書を読んできたが、古代史の門外漢である私には難解な部分が多いものの、その内容は面白く、おぼろげながらも我が国の成り立ちや渡来人について、また、大神神社の関わりについて、はるか昔のことであるが、身近なものとして感じることができるようになった。自分の不勉強を恥じるとともに、「地に足の着いた歴史教育」の必要性を痛感している次第である。

 現在、教育基本法の改正が議論されているが、焦点の一つとなった「我が国と郷土を愛する心」を、日本の将来を背負って立つ子供達に如何に涵養していくかが喫緊であり、その具体策の一つとして、外国の史書に惑わされることなく、記紀をはじめとする我が国の歴史書や身近にある神社の由来などを通して、子供達に郷土を、ひいては国を愛する心を育んでいってはどうだろうか。


94号 18.4.23 ひとりごと (閑中忙と国を守る体制) 廣瀬 紀雄 (連合会常任理事)


 昭和50年頃、奈良東大寺清水管長の講話「演題:三余愚想」で「閑中忙」という言葉が印象に残り、当時は「暇があったら本を読みなさい、何かあったときに役に立つ」と理解していた。現在は、孫子の兵法ではないが「平和な時に国を守る準備をしなさい、いざというときに役に立つ」と解釈している。

 現在、有事法制が制定され、憲法や教育基本法の見直しが政治課題となり、これらにより、一国平和主義という戦後民主主義の影響が直ちに解決するとは思われないが、ナポレオンが云ったという「戦いに敗れた民族は100年立ち直れない」という言葉に係らず、近いうちに日本は立ち直れると期待している。

 私は、以前から「憲法が国を守ってくれるわけではない、しかし、憲法が国を守る体制を創りあげる」と考えてきた。「閑中忙」の言葉のように、この平和な時代、防衛力及び安保環境の整備と相俟って、自国及び関係国の歴史・伝統・文化の相互理解と尊重に基づく健全な愛国心を涵養し、物心両面にわたる国を守る体制の構築が大切である。現在を生きる我々にとって、歴史の正しい教訓を踏まえて、我が国の平和と安全及び独立を保障する体制を子孫に遺すことが最大の責務であろう。